東証社長「東電は政府の会社ではない」 官房長官を批判
東京証券取引所の斉藤惇社長は17日の記者会見で、枝野幸男官房長官が銀行に東京電力への債権放棄を求める趣旨の発言をしたことについて「どういう立場でおっしゃっているのか分からない。東電は株主の会社であって政府の会社ではない」と批判した。
斉藤社長は産業再生機構の社長時代、ダイエーなどの再生を手掛けた。この経験を念頭に「私は法律に基づいて金融機関に債権放棄を要請した」と述べ、民間企業の経営問題は国民が納得できる議論を積み上げ、法律などに基づいて介入すべきだと強調した。
「安易に債権放棄させれば銀行は今後、東電の追加融資に応じなくなる」とも指摘。銀行の経営者は預金者や株主にも責任を負っているため、政府が説得力のある枠組みを示さない限り、債権放棄には応じられないとの見通しを示した。
上場企業の2011年3月期の決算発表については、東日本大震災の影響があったものの約8割の企業が今期の業績予想を開示したとして、「大きな混乱なく決算発表を終えられる」との見通しを示した。17日までに96%の企業が決算発表を終えており、残りも1社を除き5月中に発表する予定だという。
同日、金融庁から取引規則の認可を受けたプロ投資家向け社債発行市場、東京プロボンドマーケットについては「6~7月には第1号の上場を実現したい」と述べた。同市場は東証子会社のTOKYO AIM取引所が運営。発行企業に英文開示を認めるなど規制を緩和したのが特徴。イスラム教の教義に即して設計したイスラム債の発行などもできる。
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