卸業者からユッケ勧めるメール押収 集団食中毒事件
合同捜査本部
4人が死亡した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、神奈川、富山、福井の3県警と警視庁の合同捜査本部が食肉卸業者「大和屋商店」(東京・板橋)から押収したパソコンに、チェーン店運営会社「フーズ・フォーラス」(金沢市)に出荷する肉をユッケとして販売、提供するよう勧めるメールがあったことが14日、捜査関係者への取材で分かった。
フーズ社は「ユッケ用のサンプルを送付する」などと記された大和屋商店からのメールを既に公開。「肉はユッケ用として提案された」としている。合同捜査本部は、押収したパソコンのメールがフーズ社に送信されたものとみて、大和屋商店の幹部らから事情を聴いている。
フーズ社によると、メールは大和屋商店と取引を始める前の2009年5月に送信され、「社員と(ユッケ用として)サンプルテストしましたが、どの部位を食べても問題なく感じました」などと記されていた。
大和屋商店とフーズ社はいずれも、食中毒を防ぐため肉の表面を削る「トリミング」をしていなかったとされる。
一方、合同捜査本部は14日、腸管出血性大腸菌O111の汚染経路を解明するため、業務上過失致死容疑で、死亡した男児(6)ら4人がユッケを食べていた福井渕店(福井市)や砺波店(富山県砺波市)を現場検証。
調理場や肉の保管場所の菌検体を採取、食中毒の原因となったとされるO111と同じ遺伝子型のものがあるか分析を進める。〔共同〕