放射能予測システム、運用現場を公開 文科省系財団
文部科学省系の財団法人「原子力安全技術センター」(東京・文京)は30日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の運用現場を報道陣に公開した。放射性物質の飛散状況の予測だけでなく、避難区域や周辺の避難所を検討する機能があったことも新たに公表したが、福島第1原子力発電所の事故ではデータ不足で役立たなかった。
文科省が113億円を投じたSPEEDIは、原子力事故時に官庁や地方自治体に試算結果を送るために開発された。
しかし、システムは放射性物質の放出量を入力しないと実際の飛散量は計算できないようになっており、現在も「実際の放出量のデータが送られてこない」(同センター)状態。このため、1ベクレルの放射性ヨウ素の放出が続いていると仮定し試算しているだけだという。
加えて避難区域を調べる機能にも不備があり、炉心溶融といった過酷な事故は想定外。避難所のデータについては原発周辺10キロメートル圏付近までしか入力していなかった。