福島第1原発、1号機の燃料棒崩落か
容器内水位低く 冷却は継続
東京電力は12日、福島第1原子力発電所1号機で、燃料棒が原子炉の底に崩れ落ちた可能性があると発表した。原子炉圧力容器内の水位が極端に低いものの、容器の底に残った水で冷却は続いていると説明した。
東電は、原子炉に注ぐ水の多くは「圧力容器と外側の格納容器は損傷があり、相当量が抜けている」と話した。ただ圧力容器の温度がセ氏100~120度と高温でないことから「崩れた燃料棒は原子炉の底の水にとどまる状態」としている。
事故収束に向け、東電は7月までに1号機の原子炉を水没冷却する計画。水位が低すぎると、原子炉を早期に安定停止できるかは不透明。1号機を参考に他号機の復旧を進めるとしており、計画見直しを迫られる。
水位はこれまで燃料棒の上部から1.6~1.7メートル下にあるとされていた。水位計を復旧して正確に測ったところ、上部から5メートル以下と判明。燃料棒が完全な棒の形で残っていれば、すべてが露出する水位だった。
今後、原子炉の水位を回復するため注水量を増やす方針。格納容器の水位は確認できていない。
専門家からは1号機の水没冷却の作業について「東電の説明通りなら(作業を後回しにした)2号機と同じように格納容器をまず修復しなければならない。工程表の全面的な見直しが必要だ」(奈良林直・北海道大学教授)との指摘も出ている。