シリア、デモ鎮圧死者120人に 犠牲者の葬列に発砲
【ドバイ=太田順尚】22日の反政府デモ鎮圧で多数の死者が出たシリア各地で23日、犠牲者を悼む葬儀の参列者数万人に治安部隊が発砲し、AFP通信によると少なくとも13人が死亡した。同国の人権団体によると、22日のデモ鎮圧と合わせた2日間の死者数は全土で計120人に達しており、シリア情勢は緊迫感が高まっている。
葬儀は首都ダマスカス近郊のドゥマや南部エズレなどで行われ、モスク(イスラム礼拝所)から墓地に向かう参列者に治安部隊が発砲した。参列者らは「アサドを倒せ」と大統領打倒を直接訴えるスローガンを叫び、自由や改革を訴えてきた従来の姿勢から態度を硬化させているようだ。
反体制派は22日に宗派を超えた大規模なデモを計画的に行い、治安部隊がこれを鎮圧し、多数が死亡した。反政府デモの中心となっている南部ダルアー選出の人民議会議員2人が23日、弾圧に抗議するため辞職を表明。オバマ米大統領が「言語道断」と述べるなど、アサド政権に対する国際社会の非難も強まっている。
これに対し、シリア国営通信は23日、「事実に基づかないオバマ大統領の声明は残念だ。米国の無責任で対立をあおる態度こそが、シリアの市民を危険にさらしている」と反論する政府関係者の見解を伝えた。