画面左に友人の写真一覧 米社がSNS向けブラウザー
【シリコンバレー=奥平和行】米ITベンチャーのロックメルト社(カリフォルニア州)は9日、交流サイト(SNS)の利用を前提として開発したインターネット閲覧ソフト(ブラウザー)「ロックメルト」の一般公開を始めた。ロックメルトはブラウザーの草分けである「ネットスケープ」を開発したマーク・アンドリーセン氏が支援していることもあり、今後の行方に注目が集まっている。
ロックメルト社は米グーグルの「クローム」の基盤技術を応用してブラウザーを開発した。SNS最大手「フェイスブック」の利用を前提としており、画面の左側にフェイスブックに登録した友人の顔写真を一覧表示してログイン状況を確認できるほか、アドレスバーの右側にある「シェア」ボタンを押すと閲覧中のウェブサイトを友人と共有することも可能だ。
ロックメルト社は昨年11月、利用者を限定した招待制でブラウザーの提供を開始。利用者の声をもとに「これまでに改良版を15回以上出してきた」(同社)という。9日からは一般向けサービス(ベータ版)に切り替えており、同社のサイトから無料でパソコンに取り込むことができる。(http://www.rockmelt.com/)
同社には、米ネットスケープ・コミュニケーションズの共同創業者であるアンドリーセン氏がパートナーを務めるベンチャーキャピタル(VC)「アンドリーセン・ホロウィッツ」が出資している。ネットスケープは1995年8月に株式を上場した際、公開価格を大きく上回る高値をつけたことからネット株ブームの火付け役になった。
ネットスケープは98年に米AOLの傘下に入りその後もブラウザーの開発を続けたが、米マイクロソフトとの競争により苦戦を強いられてAOLは既に事業から撤退している。一敗地にまみれたネットスケープの生みの親であるアンドリーセン氏が再びブラウザーに関わる形になるため、昨年11月に限定公開した際は"雪辱戦"として米IT業界の関心を集めた。