国内排出量取引の導入凍結 政府、産業界に配慮
政府は28日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、基本方針を了承した。国内排出量取引制度の導入について「国際的な枠組みの成否を見極め、慎重に検討する」と明記。当面、凍結する方針を示した。コスト増を懸念する経済界に配慮し、「創設する」とした民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)から表現が後退した。
菅直人首相は「鳩山由紀夫前首相が打ち出した方向性をさらに充実したものだ」と強調。温暖化ガス排出量に関して2030年に1990年比で30%削減するとの目標も示した。
基本方針では地球温暖化を巡る主要政策と位置付ける排出量取引制度や、地球温暖化対策税(環境税)、電力会社による再生可能なエネルギーの全量買い取り制度について方向性を示した。環境税は来年度の導入を明記。全量買い取り制度に関しては来年の通常国会に関係法案を提出し、2012年度からの制度導入を目指す。このほか環境関連産業を伸ばす「グリーン・イノベーション」を進める総合戦略の策定もうたった。
国内排出量取引制度を巡っては第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で13年以降の国際枠組みづくりを先送りしたことで、導入凍結論が広がっていた。民主党も導入凍結を提言しており、政府・民主党が足並みをそろえた格好だ。