イエメン大統領、権力移譲を提案 反体制側に
【カイロ=加賀谷和樹】イエメンのサレハ大統領は、反体制派との対立を打開するため、反体制派がつくる暫定政権に権力を移譲する用意があると提案してきた。反体制派の関係者が30日、ロイター通信に明かした。同氏が年内は大統領職にとどまることが条件。反体制派はこの提案を検討している。イエメン情勢が変化する可能性もある。
サレハ大統領側はこの提案を29日夜、反体制側との協議で示してきた。さらに議会選を年内に実施する案も提示した。
南北分裂時代を含め30年以上も大統領を続けるサレハ氏に対し、反体制派のデモ隊は即時退陣を要求。これに対し、大統領は「性急な退陣は国内を混乱させ、(国際テロ組織アルカイダなどの)過激派勢力を活発にする」という理由で拒んでいる。すでに大統領選を年末に前倒しし、自身はこれに出馬しないと表明することで任期を区切ったが、反体制派は納得せずにデモを続けている。
大統領は退任の時期などを巡り反体制派と協議を続けてきた。大統領側は辞任の条件として、大統領一族の身体拘束の免除などを反体制派に求めているとみられていた。