日航・稲盛氏、東電の債権放棄論に苦言
官房長官発言、経産相は火消しに躍起
日本航空の稲盛和夫会長は18日の記者会見で、枝野幸男官房長官が東京電力の債権放棄を金融機関に求める趣旨の発言をしたことについて「(日航のように)会社更生法が適用された場合は債権放棄もあり得るが、何もない中で債権放棄というのは問題ではないか」との見解を示した。
「東電はまだ生きている健全な会社。今後、補償や賠償など大変な負担がのしかかると思うが、メドが何も付いていない状況だ」と指摘した。
海江田万里経済産業相は18日、日本外国特派員協会で講演し、政府が決定した東京電力の原子力発電所事故の損害賠償を支援する枠組みについて「私が東電の損害賠償チームのチーフであり、その意味では私が決める。枝野幸男官房長官は私の代理だ」と述べた。閣僚の発言によって市場に不安が広がっており、経産相には閣内の足並みの乱れをけん制する狙いがあるとみられる。
政府の枠組み決定後に官房長官が銀行に債権放棄を求める趣旨の発言をしたことで、銀行株が一時急落した。経産相は「私の言うことをよく注意深く聞いていただければ、それが一番正確なステートメントだ」と強調。市場に広がる不安を打ち消そうと躍起だった。
支援の枠組みは全閣僚が参加する「原発事故経済被害対応チーム」が策定し、チーム長は原子力経済被害担当相を兼ねる海江田氏。官房長官は副チーム長との立場だ。
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