ベント「空白の73分」 震災直後の原発、東電が公表
白いもやで作業中止
東京電力は18日、3月11日の東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の地震発生直後からの対応を、時系列で詳細にまとめた資料を公表した。最初に炉心溶融(メルトダウン)した1号機を中心に、格納容器の弁の開放(ベント)や原子炉への注水が、なかなか思うように進まない様子が明らかになった。
資料は作業員の証言などをもとに作成した。1~6号機における15日までの対応状況がまとめてある。今後、政府が設置した東電福島原発の事故調査・検証委員会から要請があれば提出するという。
東電の対応の遅さに批判が出ていた1号機のベントに関しては、地震発生から2時間もたっていない11日午後4時36分に中央制御室で作業手順の検討を始めた。12日午前0時すぎに吉田昌郎所長がベントの準備を指示したが、その後、放射線量の上昇で準備に手間取った。
12日午前3時45分ごろには、作業員が原子炉建屋の放射線量を測るために二重扉を開けたが、白いもやもやが見え、慌てて扉を閉めて引き返したと証言していることもわかった。
12日午前6時50分に経済産業相のベント実施命令が出たが、吉田所長が1時間後を目標にベントをするよう現場に指示したのは12日午前8時3分。この「空白の73分」に菅直人首相が福島第1原発を視察していたことも記されていた。
作業員がベントの現場に向かったのは12日午前9時すぎ。手動で弁を開いたあとも、大型弁を開く機材などを探すのに時間がかかった。
一時、政治問題にまでなった1号機の海水注入に関しては、12日午後3時半すぎに準備を終えたが、その後、原子炉建屋の水素爆発でホースが損傷した。建屋の鉄板などのがれきを片付け、ホースを再敷設。海水注入は12日午後7時4分に始まった。
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