猛暑で電力需要急増 東電の想定超す4129万キロワット
昨年との比較では1割以上減
夏至の22日、日本列島は高気圧に覆われ、群馬県館林市で36.5度を観測するなど、気温35度以上の「猛暑日」をこの夏初めて全国13地点で観測した。東京電力管内で同日の電力需要が4129万キロワットと東日本大震災以降で初めて4000万キロワットを超えたほか、各地で電力需要が急増した。
東電では供給力は十分確保しているが、想定需要を約140万キロワット上回った。昨年は東京で6月最初の真夏日だった16日(最高気温30.3度)のピーク需要は4665万キロワット。それに比べれば1割以上需要は少なく、「節電の効果が出ている」(東電)と分析している。
気象庁によると、各地の最高気温は伊勢崎(群馬)36.2度、熊谷(埼玉)35.5度、静岡35.3度、東京都心31.9度などで軒並み今年最高となった。被災地でも塩釜(宮城)で6月としては観測史上最高の33.0度を記録、仙台で32.7度、釜石(岩手)で32.3度まで気温が上がった。
東電は22日朝の時点で電力需要ピークを3990万キロワット(午後2~3時)と見込んでいたが、内陸部の気温が想定以上に上昇。22日の供給力を4730万キロワットとしていたため、供給予備率は約15%となり、安定供給に必要な8~10%を上回った。
電力使用は一般的に午後1~4時がピークとなるが、22日は気温が下降傾向となった午後4~5時に最高を記録した。「日中の節電を呼びかけていることもあって、利用者が電力の使用を夕方にシフトさせている」(電力大手)との声もある。
気象庁は東電管内のこの夏の天候について「過去10年と同様の暑い夏になる」と予測。東電では例年は気温が1度上昇するごとに170万キロワット需要が増えるとしており、当面は気温をにらみながら想定需要の調整が続きそうだ。
関西電力では22日、大阪市の気温が30度を超えた午後2時から3時の間に、最大消費電力が2313万キロワットと4月以降で最も多かった。電力消費量は前年並みの水準で、節電効果が出るのはこれからとみられる。中部電力でも午後3時に電力需要が今年度最高の2089万キロワットに達したほか、九州電力も今年最高を記録した。
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