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震災被害16兆~25兆円 GDP最大0.5%押し下げ

内閣府試算

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内閣府は23日、東日本大震災による道路や住宅などへの直接的な被害額が16兆~25兆円になるとの試算を公表した。政府が被害額を示すのは初めてで、阪神大震災時の約10兆円を大きく上回ると判断した。地震や津波で生産設備などが損壊したため、内閣府は2011年度の実質国内総生産(GDP)が0.2~0.5%程度押し下げられるとみている。ただ福島第1原子力発電所の事故による計画停電の影響などは織り込んでおらず、経済的な影響はさらに大きくなる可能性がある。

与謝野馨経済財政相が月例経済報告に関する関係閣僚会議に提示した。政府として被害額の試算をまとめたことについて経財相は「復旧・復興に取り組むうえで、一定の数字で被害の規模をイメージしてもらう必要がある」と説明した。

被害額の試算は、甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島に北海道、青森、茨城、千葉を加えた7道県を対象とした。阪神大震災で住宅などの建築物や港湾などの社会インフラが被った損害の割合を基準とし、津波の被災地域でこの割合が2倍程度に達する「ケース1」、被害をさらに大きく見積もった「ケース2」に分けて試算した。

津波被災地域の建築物の損害割合を30.6%などとしたケース1では、7道県の被害額は約16兆円。このうち岩手、宮城、福島の3県だけで約14兆円を占める。建築物の損害割合を80%と想定したケース2では被害額は約25兆円に拡大。この場合、住宅や港湾、工場など被災地にある「資本ストック」の約14%が損害を受けた計算になる。

阪神大震災の建物や社会インフラなどの被害額は約10兆円とされている。東日本大震災は津波の被害などが広範囲に及んでおり、与謝野経財相も「阪神大震災と比較すると被害ははるかに大きくなる」と指摘した。

内閣府は企業の生産活動が停滞することに伴う実質GDPへの影響も試算した。地震によって民間企業が保有する設備のうち9兆~16兆円程度が損害を受けたと想定。部品の流通が滞る影響も考慮すると、11年度の実質GDPは1兆2500億~2兆7500億円(0.2~0.5%程度)押し下げられるという。

試算には原発事故や計画停電の影響、消費者心理の悪化、インフラなどの復興需要は織り込んでいない。内閣府は「停電が日本経済にマイナスになるのは間違いないが、現時点で影響ははかれない」としている。

政府は3月の月例経済報告で、景気は「持ち直しに転じているが、自律性は弱く、地震の影響が懸念される」との基調判断を示した。判断材料となる経済統計には東日本大震災の影響は反映されておらず、内閣府は4月以降に景気への影響を見極める考えだ。

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