福島第1原発の近隣住民「いつになったら帰れるのか」
東京電力福島第1原発で炉心溶融が起きた可能性が高まった12日午後、近隣住民の間には衝撃が走った。史上最大規模の地震がもたらした例のない事態に、住民らは「いつになったら帰れるのか」と底知れぬ不安を募らせた。
福島県田村市の総合体育館には同県双葉町などから避難してきた高齢者や親子連れら約820人でごった返した。館内のホールに置かれた大型テレビの前には数十人が集まり、ニュース番組を食い入るように見つめた。
市職員に「自宅は大丈夫だろうか」「いつ帰宅できそうか」などと不安そうに尋ねる姿も目立ったという。
避難した住民は厚手のジャンパーを着込み、毛布を自宅から持ち込むなど防寒対策は十分な様子。ただ、館内には飲料の自動販売機はあるものの、非常食は備蓄していないといい、女性職員は「近くのスーパーなどが、地震の影響で品不足にならなければいいが」と心配そうに話した。
避難指示の対象となった同県大熊町や富岡町の住民も続々、近くの避難所に集まった。
田村市常葉町の常葉公民館には住民計約600人が避難。女性職員は「原発の深刻な状況から着のみ着のままで駆けつけた人が多い。物資も足りず、今後どうなるのか」と不安そうな表情を浮かべた。
福島第1原発から西に30キロあまり離れた福島県小野町では、町内の公民館では避難者180人を受け入れる。午後2時20分ごろから避難者が続々と到着。60~70代の高齢者らが、防寒着など最低限の荷物だけを持って逃げてきているという。
同町はパンやカップラーメン、水、毛布を用意。避難者の健康不安には保健師3人が対応するという。担当者は「地震でトイレの浄化槽が壊れているため、隣の建物を使ってもらおうと思う。できるだけのことはしたい」と気を引き締めた。
関連企業・業界