インドの携帯普及率、実際は4割以下
【ムンバイ=黒沼勇史】5割超とみられていたインドの携帯電話の普及率が、実際は4割以下にとどまることがわかった。インド電気通信規制庁(TRAI)がこのほど、利用者識別カード(SIM)を継続利用する「アクティブ・ユーザー」の数を初めて公表、9月末時点で4億8289万件だった。TRAI推定の現在の人口11億8600万人の41%だが、同国では複数枚のSIMを同時に使う人が多い。携帯を使う人の割合を示す普及率はさらに少ないとみられる。
インドは中国に次ぐ世界2位の携帯市場。TRAIはこれまで、発行済みSIMの枚数(累計加入件数)を人口で割って計算した数値を普及率として公表。8月末時点では56.61%とし「国民の半分以上が携帯を使う」(地元紙)との見方が広がる主因となっていた。
9月末の累計加入件数は6億8771万件。うちアクティブ・ユーザーは70%にとどまった。残りの30%は「使用停止や電波の届くエリアから退去した」(TRAI)と分析。前払いの利用料を使い切った後で廃棄されたSIMなどが2億枚以上存在したことになる。
同国では前払い式SIMを複数枚所持し、通話相手と同じ電話会社のSIMに差し替えて通話料を抑える市民が多い。平均所持枚数を2枚とすれば普及率は20%程度になる計算。携帯市場が興隆期を迎えたとされるインドの携帯市場は、成長の伸びしろがまだ大きいともいえそうだ。