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JR西・前社長が無罪主張 尼崎脱線事故で初公判

「事実と全く異なる決めつけ」

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兵庫県尼崎市で2005年に起きたJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で在宅起訴されたJR西日本前社長、山崎正夫被告(67)の初公判が21日、神戸地裁(岡田信裁判長)で開かれた。山崎前社長は遺族らに謝罪した上で、起訴内容に対し「事実と全く異なる決めつけで、裁判で何としても潔白を明らかにしたい」と無罪を主張した。

鉄道事故の刑事責任を経営幹部に問う異例の裁判は、検察側と弁護側が全面的に争う構図が鮮明となった。

山崎前社長は「危険性に気付く場面がなかったか自問自答を重ねたが、私の立場では気付くことができなかったと言わざるを得ない」と起訴内容を否認。弁護側も意見陳述で「被告は現場カーブで事故が起きる危険性を認識できず、安全対策を取るべき義務もなかった」などと指摘した。

公判の最大の争点は、山崎前社長が常務鉄道本部長時代、現場カーブで事故が起きる危険性を予見できたかどうか。

検察側は冒頭陳述で、現場カーブの急カーブ化や通過する快速電車の増便を根拠に、「現場カーブはJR西管内で脱線が起きる可能性が最も高かった」と主張。「山崎前社長に事故の予見可能性があったことは明らか」と指摘して、安全対策である自動列車停止装置(ATS)の設置を怠った不作為の責任を追及する方針。

一方の弁護側は同日午後に行われる冒頭陳述で、JR西管内で現場カーブより急なカーブが2千カ所超あることや福知山線より過密ダイヤの路線があったことなどを挙げ、現場カーブの危険性を否定、検察側に真っ向から反論するとみられる。

この日の初公判で、検察側は起訴状に記載した死傷者599人全員の名前を読み上げた。

神戸地検は09年7月、山崎前社長を同罪で在宅起訴。その際、不起訴処分となった井手正敬元相談役(75)ら歴代3社長は今年4月、検察審査会の議決により同罪で強制起訴された。

事故は05年4月25日午前9時18分ごろに発生。尼崎市の福知山線で、制限速度を46キロ上回る時速116キロで現場カーブに進入した快速電車が脱線、乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷した。

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