ホヤの赤ちゃん、魚と違う泳ぎ方 阪大など解明
大阪大学などは海に生息する「ホヤ」の赤ちゃんが、魚と異なる仕組みで筋肉を巧みに動かして滑らかに泳ぐことを明らかにした。無脊椎動物から魚類やヒトを含む脊椎動物への進化の道筋を理解するのに役立つ成果という。米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。
阪大の西野敦雄助教と岡村康司教授らが、高速カメラによる詳細な観察などで突き止めた。ホヤは脊椎動物に最も近い無脊椎動物といわれる。体長1ミリ程度の赤ちゃんは体の基本的な作りや泳ぎ方がオタマジャクシや魚にそっくり。ただ筋肉細胞が36個しかなく、他と異なる仕組みがあると予測して調べた。
日本で一般的にみられる「カタユウレイボヤ」の赤ちゃん=写真は阪大提供=を観察すると尾を左右に振り滑らかに泳ぐが、筋肉細胞の働きが独特だった。筋肉収縮には細胞内のカルシウム量が深くかかわる。ホヤは一つ一つの筋肉細胞が外からカルシウムを取り入れて量を調節し、強弱を付けて収縮していた。
ヒトなどは神経細胞が様々なタイミングで指令を出して数千~数百万の筋肉細胞を制御、内部でカルシウム量を調節する機構が働く。外部からカルシウムはほとんど流入しないという。西野助教は「筋肉収縮の新たな仕組みが見つかった。少ない部品でも滑らかに動く機械のモデルにもなりそうだ」と話している。