米アップル取締役会、ジョブズ後継計画の開示に反対
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルの取締役会が、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の後継計画開示を求めた株主提案に反対し、話題を呼んでいる。アップルはヒット製品に恵まれ、業績好調。3日には株式の時価総額が3000億ドル(約24兆9000億円)の大台を突破する一方、ジョブズ氏の「個人商店」とも指摘されている。今回の株主提案は投資家のぬぐい去れない不安を浮き彫りにした形だ。
アップルは2月23日にカリフォルニア州クパティーノ市の本社で開く株主総会に向け、株主宛てに招集通知書を発送。2010年もジョブズCEOの年間報酬が1ドルだったことが開示され、"ただ働き"が話題となった。
しかし、もっと注目すべきはイリノイ州に本拠を置く年金基金が株主提案した第5号議案だ。アップルに「具体的な後継計画を文書で開示し、毎年開示するよう」に求める内容で米メディアの関心を集めている。
アップル取締役会は招集通知で同提案への反対を表明。「社内で具体的な計画を策定済み。計画を開示した場合、候補者が他社の引き抜きにあったり、候補外の幹部が流出したりすることが予想され、不利益が大きい」として、株主に反対を呼びかけている。
同提案が総会で実際にどの程度の賛成を集めるかも注目されるが、米IT(情報技術)情報サイトは相次いで「アップルはジョブズCEOが永遠に経営できると考えているのか?」など、皮肉る内容の記事を掲載。「報酬1ドル」よりも根本的な問題であるだけに、さらに波紋が広がりそうだ。