花王とカネボウ、化粧品ブランド3割減 効率化急ぐ
商品数も削減 生産・営業を一体化
花王は傘下のカネボウ化粧品と共同で、現在25ある化粧品の主要ブランドを2013年3月期までに最大3割減らす。商品数も同程度削減し、両社で工場の相互活用と営業拠点の一本化も進める。花王は06年にカネボウ化粧品を買収し、グループの化粧品事業は国内2位だが、効率化の遅れなどで営業赤字に陥っている。消費不振で市場が縮小に転じる中、事業構造を抜本的に見直す。
花王とカネボウ化粧品を合わせた化粧品事業の10年3月期の売上高は9%減の2651億円。営業損益は約302億円の赤字で、カネボウ買収に伴うのれん代などの影響を除いても約17億円の赤字だ。開示を始めた09年3月期以降、2期連続の減収・赤字となった。
これまで売り上げ確保を優先し、顧客の年齢や好みに合わせて両社のブランドを抱えてきた。今後、メーキャップ化粧品「ケイト」(口紅やアイシャドー)といったカネボウで年商100億円を超える7ブランドや、花王の基礎化粧品「ソフィーナ ボーテ」(乳液や化粧水)などに経営資源を集中。認知度が低く、売り上げの小さいブランドを5~8程度削減する。対象は今後詰める。両社合わせて数千の商品数も最大3割程度減らす。
両社で別々に手がけてきた生産と営業体制も見直す。花王の東京工場(東京・墨田)、カネボウの小田原工場(神奈川県小田原市)の間でコスト削減効果の大きい品目を互いに生産委託し、原料の共同調達も拡大する。
売上高 | 営業 損益 | 国 内 シェア(%) | 主 な ブランド | |
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資生堂 | 6,442 | 503 | 24.1 | 「マキアージュ」 |
花王+ カネボウ化粧品 | 2,651 | ▲302 | 23.1 | 「ケイト」 |
コーセー | 1,725 | 101 | 10.5 | 「雪肌精」 |
ポーラ・オルビス | 1,623 | 97 | 8.3 | 「B.A」 |
営業拠点はすでに名古屋市で一本化、他の主要拠点の統合も検討する。営業は引き続き別々に手がけるが、販促などは共同展開する。一連の策で12年3月期の黒字(のれん代などの影響を除いた営業損益ベース)転換を目指す。今後は共同でインターネット通販に本格参入するほか、アジアで互いの販路を活用するなど海外事業で連携する。
花王に先行して、他の化粧品大手もブランド戦略の見直しに着手。資生堂は約5年前に約100あった重点ブランドを4分の1に絞った。3位のコーセーは今春から1年をかけて「コーセー」ブランドの商品群のうち最大3分の2を減らす。