トヨタやパナソニック、採用選考を延期へ　6月以降に

地震の被害を考慮して主要企業が採用活動を延期する。トヨタ自動車やパナソニックなどは17日、2012年春の新卒採用について筆記試験や面接などの選考を当初予定の4月から6月以降に変更すると発表した。地震の影響を受けた学生らが不利にならないように配慮し、就職難への不安心理を鎮める狙いだ。

日本経団連は12年春の新卒採用について15日の理事会で「被災、影響を受けた学生に配慮し、可能な範囲で最大限の対応をお願いする」と会員企業に要請。大手企業を中心に4月から本格化する採用のスケジュールを見直す動きが広がっている。

トヨタは17日、4月1日に予定していた選考開始を6月以降に延期すると発表した。震災の影響を考慮し「全国の学生に公平な選考機会を提供するため」（同社）。パナソニックも国内の採用選考活動を6月以降に延ばす。

三菱東京UFJ銀行は今月17日までだったインターネット上での総合職採用の申込期間を、被災した学生のみ25日まで延長した。日本興亜損害保険は被災地に住む入社希望の学生に個別に連絡し、面接期間を別途設ける方針だ。総合商社では住友商事が選考活動を現在の4月から6月以降に延期。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅も同様の措置を取る方向で検討している。

今春入社予定の新卒についても柔軟な対応を取る企業が増えている。ホンダは本人または家族が被災した場合、希望により2カ月間、出社を遅らせる特別措置を取る。

地震の影響による採用計画数の削減や内定取り消しを警戒する大学側は、産業界の対応を注視している。明治大学就職キャリア支援部は「まだ状況を見守っている段階だが、採用スケジュールの変更であれば学生の動揺は少ないだろう」と話した。