日本電産、三洋の小型モーター事業を買収
携帯向けも世界首位に
日本電産は三洋電機の小型モーター事業を買収する。2011年4月にも手続きを終え、国内外の拠点や従業員を引き継ぐ。三洋が強みを持つ携帯端末用の振動モーターはスマートフォン(高機能携帯電話)向けに需要が拡大中。日本電産は様々なモーターでトップを目指しており、携帯端末向けでもシェア4割強を握り世界首位に立つ。
9日に両社が発表する。買収額は70億円前後とみられるが、詳細な資産査定を経て確定する。日本電産は、三洋の全額出資子会社で主に小型モーター事業を手がける三洋精密(長野県上田市)の全株を取得する。中国、インドネシアの工場などや国内の約300人を含む従業員を引き継ぐ。雇用は維持する見通しだ。
三洋精密は振動モーターを中心に小型モーターを製造販売している。10年3月期のモーター部門売上高は230億円前後だが、生産効率が低く採算は悪化していた。
日本電産は子会社の日本電産コパルで振動モーターを手がけ、世界シェアは1割強。約3割で最大手の三洋精密を傘下に収め、韓国サムスングループなどを抜く。買収後はコパルと三洋精密の相乗効果で収益を改善し、競争力を引き上げる。
小型モーターではハードディスク駆動装置(HDD)用などに続くトップ製品として振動モーターでも攻勢をかける。
振動モーターは着信通知などのバイブレーション機能に必要な部品。携帯電話やゲーム機に広く搭載されている。世界市場は約500億円。スマートフォンや多機能情報端末向けの需要が伸び、数年後には1千億円に近づくとみられている。
三洋は半導体など不採算事業の見直しを進めており、三洋精密の売却もその一環。日本電産はモーター事業の強化にM&A(合併・買収)を積極活用している。
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