復興財源、「消費税増税」に軸足 民主党執行部
民主党執行部は19日、東日本大震災の復興対策の財源として消費増税論に軸足を置き始めた。菅直人首相(党代表)や玄葉光一郎政調会長らは2011年度第2次補正予算案以降に発行する復興再生債の償還財源に、消費税を充てる案を探る。政府部内では復興にメドがついた後に消費増税を恒久化する構想もある。ただ菅政権下での増税には野党だけでなく民主党にも異論が強い。政権の枠組みと首相進退が絡み、調整は難航が避けられない。
国家戦略相を兼ねる玄葉氏は記者会見で、復興債の財源について「消費税で(増税)という議論が出てくると仮定すれば、被災地への配慮は技術的には可能だ」と表明した。18日には岡田克也幹事長が「償還財源は税以外のものはない」との考えを示し、首相も「財政再建も含めて青写真を作れれば本望だ」と発言している。執行部の足並みは増税でそろった。
首相の本命は消費増税だ。本格的な復興財源としてこの時期に消費増税が浮上したのは2つの理由がある。
野党が求めるマニフェスト(政権公約)の大転換による財源捻出は「政治的敗北」となるため、受け入れられない。国債増発にも限界がある。消費増税以外の選択肢はないともいえる。
もう一つは、参院での逆転国会をにらんで、野党を引き込む狙いだ。参院民主党の平田健二幹事長は19日、消費増税について「社会保障との一体改革も含め議論をしなければいけない」と語った。社会保障財源としての消費増税は自民党も提唱している。財務省を中心に政府部内で検討してきた時限的な復興税を将来的には恒久化し、主に社会保障財源に充てる「2段階引き上げ・衣替え論」が、民主党執行部の方針と一緒になった格好だ。