東鉄、全品種で据え置き 4月契約価格、安定供給優先
東京製鉄は22日、4月の契約価格を全品種で据え置くと発表した。東日本大震災が国内外の経済に与える影響を注視する動きが強まっている上、震災復旧向けの鋼材の安定供給を優先する必要があると判断した。生産・出荷を停止している宇都宮工場(宇都宮市)については「早ければ週内に出荷を再開できる」(大堀直人常務)という。
主要製品の価格はH形鋼が1トン8万1千円、熱延コイルが7万2千円、厚板が7万9千円、異形棒鋼が6万4千円。
同社は原料の鉄スクラップ高を理由に、3月契約まで3カ月連続で全品種を値上げした。しかし鉄スクラップ価格は今月に入り下落。震災後は鋼材取引が停滞していた。
宇都宮工場では設備の点検を急いでいる。ただ稼働再開後も電力供給や流通などの面から早期のフル稼働は難しいとみられる。同工場で生産できない分は岡山工場(岡山県倉敷市)と九州工場(北九州市)の増産で補う。
同社は被災地向けの資材について「最優先で生産する」(大堀常務)としている。H形鋼や熱延コイル、厚板などで引き合いが出ているという。