エジプト、実権をスレイマン副大統領に 構想が浮上
大統領は象徴的存在 任期途中の辞任せず
【カイロ=松尾博文】ムバラク大統領の退陣を巡り混乱が続くエジプトで、大統領が職にとどまりながら実権はスレイマン副大統領に移す構想が浮上している。副大統領は5日、同案を推す有識者グループや一部野党代表と会談した。大統領は任期途中の辞任を拒否、反体制派の有力組織であるムスリム同胞団は即時退陣を主張しており、構想が実現するかどうかは不透明だ。
構想は大統領権限を副大統領に委任できる憲法条項を利用してスレイマン副大統領が実権を握り、大統領は象徴的存在として肩書は保持しながら一線を退く。大統領の「名誉ある引退」を保証することで事態を打開する試みで、米紙は副大統領とエジプト軍が米政府と協議していると報じた。
シャフィク首相は4日、「大統領は副大統領に権限を委譲しない」と述べ、構想の実現に否定的な見方を示した。大統領は次期大統領選挙への出馬を断念したが、任期途中の辞任は拒否している。
反体制派は5日もカイロ中心部のタハリール広場で抗議行動を続けたが、大統領支持者などとの衝突は起きていない。