コスモ石油タンク火災 激しい衝撃、炎800メートル噴出
東北大地震 首都圏でも被害相次ぐ
東日本巨大地震では首都圏も激しい揺れに見舞われ、建物の天井が落ちるなどして死者が発生。ビルや住宅、工場地帯で火災も相次いだ。
東京都千代田区の「九段会館」では11日午後2時50分ごろ、専門学校の卒業式が開かれていた大ホールの天井の一部が崩れ落ち、1人が死亡した。同会館の前には消防車や救急車など十数台が集まり、救急隊員が次々と負傷者を搬送。ホールの外に避難した人々が不安そうな表情で救出作業を見守っていた。
千葉県の沿岸部に広がる石油コンビナート群では火災による黒煙が幾筋も上がった。市原市五井海岸のコスモ石油千葉製油所ではLPGガスの配管から出火。30~50メートルの高さで燃えさかる炎の勢いは衰えを見せず、煙は東京の上空からも見渡せるほど広がった。
午後5時半ごろには、「ドン」という衝撃とともに、真っ赤な炎が高さ約800メートルまで噴き上がり、上空で警戒に当たる千葉県警のヘリも近づけない。近くを飛んでいたヘリの操縦士は「もし巻き込まれたらどんなことになっていたか」と息をのんだ。
東京都足立区の住宅街では地震直後に爆発音がとどろき、民家から火柱が上がった。赤い炎が2階建ての木造住宅を包み込むように燃え上がり、大量の黒煙が50~60メートル立ち上ったという。近くに住む無職男性(69)は「あんな火災は初めて見た……」と絶句した。
震度5強を観測した江戸川区によると、団地や小学校が立ち並ぶ清新町で液状化現象が発生。近所の男性は「地震後に道路の下から水が噴き出してきた」と驚いた様子で話し、対応に追われた。
都心のオフィス街に隣接する公園には、地震発生直後から近くのビルから避難した人があふれ、中には不安で泣き出す女性も。東京・日比谷公園も周囲の官公庁などから避難してきた人々で埋め尽くされ、厚生労働省から避難した男性職員(28)は「本棚がすべて倒れ、防火扉も開かなくなった。とじ込められている人がいるのではないか」と不安な様子だった。