縄文土器にイノシシの顔、千葉の貝塚で発見
千葉県市川市の権現原貝塚で1985年に出土した縄文土器に、イノシシの顔とみられる線刻画が描かれていたことが8日、市川考古博物館の分析で分かった。
同博物館によると、取っ手などにイノシシがかたどられた土器の発見例はあるが、とがった道具で線を直接刻んでイノシシを描いた例はほとんどない。
線刻画は縦約12センチ、横約35センチの大きさで、約4千年前の土器の側面に描かれていた。正面から見た目元や鼻筋、牙を抽象的に表現し、交差した線で体毛を表したとみられる。
博物館の学芸員、領塚正浩さん(48)が85年の出土品を2009年に調べ直し、規則正しい文様とは異なる線が刻まれた土器を発見。外見的な特徴や当時の生態系などからイノシシと結論づけた。
東京大の設楽博己教授(考古学)は「多産で生命力の強いイノシシは、豊さや生命のシンボルだったとみられる。当時の動物観や信仰を考える上で意義がある」と評価している。〔共同〕