ペルー国籍親子3人強制退去取り消し 名古屋地裁判決
日本で生まれた長女(10)を含むペルー国籍の親子3人が、名古屋入国管理局による強制退去処分の取り消しを求めた訴訟で、名古屋地裁(増田稔裁判長)は9日、「日本で生まれ、家庭内でも日本語を使用する長女がペルーで生活することになれば大きな困難が生じるのは明確」として、国に処分の取り消しを命じる判決を言い渡した。
判決文によると、ペルー人の両親と息子3人は1994年、他人名義の旅券を使って不法に日本へ入国、97年6月に名古屋入管に申請した在留期間の更新は許可されなかった。一家は同入管に出頭せず、2000年4月には長女が誕生。06年10月、出頭して日本での在留特別許可を求めたが、名古屋入管は09年1月、息子3人に1年間の在留特別許可を与える一方、両親と娘は強制退去処分とした。
増田裁判長は判決理由で「名古屋入管は長期間にわたって一家が日本に在留することを黙認していた」とした上で、「両親が3人の息子を高校に進学させるなど懸命に子育てをしてきた事情なども考えれば、名古屋入管の判断は社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱または乱用した違法なもの」と述べた。
名古屋入国管理局は「判決内容を確認した上で今後の対応について検討したい」とコメントした。