死者・不明1200人超す 陸前高田など「ほぼ壊滅」
東日本巨大地震は発生から一夜明けた12日、甚大な被害の状況が明らかになってきた。巨大津波による水没や家屋倒壊で、岩手県陸前高田市や宮城県女川町など東北3県の太平洋沿岸部の都市は軒並み壊滅状態となった。警察庁によると、午後3時現在、岩手や宮城、福島など12都道県で地震や津波による死者519人、行方不明者735人に上っている。死者と行方不明者の合計は1200人を超え、東北・北関東5県の避難者は約21万5600人に上った。
被害が広範囲に及んでいるため、犠牲者数など全容把握にはさらに時間がかかる見通し。政府は自衛隊5万人や警察官の救援部隊を派遣、救助活動や被害の実態把握に全力を挙げている。
総務省消防庁は同日、地震に伴う津波で陸前高田市は「ほぼ壊滅状態」と発表。人口約2万3000人の市街地は建物がほとんど押し流されているが、生存者の人数など詳しい状況は分かっていない。枝野幸男官房長官は同日の記者会見で、岩手県住田、大槌両町と連絡が取れていないことを明らかにした。
消防庁や岩手県警によると、陸前高田市は津波で8割以上が水没し、市内のスーパー屋上などで生存者が救助を待っている。大船渡市では300戸以上が崩壊か流失の被害を受けた。宮城県女川町も街全体が冠水するなど壊滅状態になっている。
ヘリコプターで視察した村井嘉浩・宮城県知事は「想像を絶する被害で、沿岸部は高台以外全滅と思っていい」と話した。南三陸町とは連絡が取れていない。
警察庁によると、県別の死者は福島県で116人、岩手県で228人、宮城県137人など。太平洋沿岸の仙台市若林区荒浜で見つかった200~300人の遺体は水が引いていないため状況の確認が遅れている。
岩手県釜石市や宮城県気仙沼市、福島県相馬市などでは沖合で最大7メートル前後の大津波を観測しており、沿岸ではさらに高い波が住民らを襲ったとみられる。
午後3時現在、福島県の2400件など、2521件の建物が全壊。12都県で150件以上の火災が起き、仙台市や千葉県市原市の液化石油ガス(LPG)などの施設周辺では爆発も発生。11日夜に発生した気仙沼市の中心街の火災は12日午前になってもなお延焼中で被害の詳細はわかっていない。宮城県塩釜地区の火災は石油ガス施設に延焼している。
宮城県警と警視庁のヘリコプターがJR仙石線野蒜―東名間で脱線していた列車から乗客ら11人を救出した。
震災発生時に宮城県石巻市の石巻港で建造中だった船は12日午前4時現在、作業員約80人を乗せたまま漂流中だったが、同日午前までに全員が海上保安庁のヘリコプターで救助された。