馬淵国交相の問責決議も可決 仙谷長官に続き
参院本会議 首相の求心力低下は不可避
円高・デフレ対応のための2010年度補正予算が26日、成立した。参院本会議は尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の対応が不適切だとして26日夜に仙谷由人官房長官、27日未明に馬淵澄夫国土交通相の問責決議をそれぞれ可決した。菅直人首相は仙谷長官らを続投させる考えだが、野党は強く反発しており、首相の求心力の一層の低下は避けられそうにない。
自民党の中曽根弘文参院議員会長は記者会見で、今後の参院での対応について「あらゆる審議に応じない」と明言。別の同党幹部は「衆参で同一歩調をとる」と述べた。公明党の山口那津男代表は「2人の所管する案件については議論に応じることができない」と語った。臨時国会は会期末の12月3日までの1週間、空転する可能性がある。
民主党内には内閣改造で乗り切るべきだとの声も出ている。輿石東参院議員会長は27日未明、内閣改造の可能性について記者団に「首相自身が判断することだ」と述べた。
約5.1兆円の経済対策を裏付ける補正予算は26日の参院予算委員会と本会議で社民党と新党改革を除く野党の反対多数で否決した。この後、両院協議会を開いたが、衆参の意見が一致しないため、衆院の議決を優先する憲法の規定に基づいて成立した。補正関連の改正地方交付税法は公明党なども賛成して成立した。
政権の要である仙谷長官の問責決議は自民党とみんなの党が共同提案した。補正成立後に参院本会議で採決し、社民党を除く野党各党が賛成にまわった。官房長官の問責決議の可決は初めて。自民党内には来年1月召集の通常国会で仙谷長官らが辞任していない場合、冒頭から審議拒否すべきだとの強硬論もある。他の野党も同調する可能性がある。
参院で与党が過半数を大幅に下回る逆転国会では、野党側の協力がなければ法案は成立しない。通常国会で来年度予算案の審議に入ることも難しくなり、政権運営が立ちゆかなくなる公算が大きい。