グーグル、PC用無償OSを来年半ばから提供
【シリコンバレー=奥平和行】インターネット検索最大手の米グーグルは7日、パソコン用無償基本ソフト(OS)「クロームOS」の提供を2011年半ばから始めると発表した。第1弾として台湾のエイサーと韓国のサムスン電子が対応製品を世界各地で発売する。パソコンOSは米マイクロソフトが圧倒的なシェアを握るが、その牙城をグーグルがどの程度切り崩すことができるかに関心が集まりそうだ。
クロームOSはインターネットを通じて各種ソフトやサービスを利用するクラウドコンピューティングの利用を前提として設計。初期設定や起動に必要な時間を短くしたほか、セキュリティーや保守などの手間も従来型OSに比べて軽減できるとしている。
エイサーとサムスンのほか東芝など日本メーカーも対応製品で参入する見通し。グーグルは近く、一部の法人や個人利用者を対象にクロームOSを搭載したノートパソコンの試作機を配布。利用者の意見を参考にソフトを改良する予定だ。
グーグルは高機能携帯電話(スマートフォン)などモバイル機器の無償OS「アンドロイド」も08年から提供を始めた。米調査会社のNPDグループによると、10年7~9月期の米市場におけるアンドロイドを搭載したスマートフォンのシェアは前四半期比で11ポイント高い44%になり、2四半期連続で首位を維持した。パソコンでも同様の成功を収められるかが注目点となる。
グーグルは同日、ネット閲覧ソフト(ブラウザー)の「クローム」を通じて使うアプリケーションソフトを販売・配布する「クロームウェブストア」を米国で開設したことも発表した。グーグルはOSやブラウザーの提供でネットを快適に使える環境を整備。収益の9割以上を占めるネット広告の売上高拡大につなげる狙いだ。
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