人類の広がり新ルート 12万年前、紅海渡る?
約20万年前にアフリカで出現した現生人類(ホモ・サピエンス)は、従来の説より早い約12万5千年前に、紅海南端付近のルートをたどって中東・アラビア半島に到達したのではないかとする研究結果を、ドイツや英国などのチームがまとめ、28日付の米科学誌サイエンスに発表した。
アラブ首長国連邦(UAE)の遺跡で発見された石器の分析などから推定した。
現生人類がいつアフリカを出て、どんな経路で世界に広がったかは長年、議論になっている。これまでは、ナイル川流域を通って約6万年前から地中海やアラビア海沿いに拡散していく、より北寄りのルートだとの見方が強かった。
東アフリカからアラビア半島南部に直接渡ったとの今回の研究についてチームは「現生人類が、いかにして世界に広がる『種』になったか、再検討が必要だ」と主張している。
石器が発掘されたのはUAE東部のジュベル・ファヤ遺跡。見つかった握斧(あくふ)などの年代を測定すると約10万~12万5千年前で、中東の他地域で見つかった石器より、東アフリカなどで現生人類が使っていたものに似ていたという。〔共同〕