日銀12月短観、景況感7期ぶり悪化 自動車・電機が減速
日銀が15日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス5となり、9月の前回調査から3ポイント低下した。DIの悪化は2009年3月調査以来、7期(1年9カ月)ぶり。エコカー補助金の打ち切りや海外経済の減速が響き、自動車や電機を中心に景気の回復が足踏みしていることを映した。3カ月先を予想するDIはマイナス2だった。企業に先行きへの警戒感が強まっている。
企業の業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値。大企業製造業のDIはリーマン・ショック後の09年3月に過去最悪のマイナス58をつけた後、景気の持ち直しを受けて上向いてきたが、改善基調がいったん途切れたことになる。
大企業製造業の16業種のうち、自動車や電気機械など7業種が悪化した。自動車はプラス21と前回から11ポイント低下。エコカー補助金の終了を受けた販売の急減が響いた。電機は12ポイントの悪化。海外経済の減速や電子部品の在庫調整を反映した。
大企業非製造業のDIはプラス1で前回に比べ1ポイント低下。12業種中9業種が悪化した。小売りはマイナス3と、4ポイント悪化した。猛暑効果や10月からのたばこ増税を控えた駆け込み需要の反動が出た。電気・ガスや運輸・郵便の低下も目立った。
3カ月後を予想したDIは大企業製造業でマイナス2、非製造業でマイナス1となり、企業に「今後、自社を取り巻く環境が良くなる」という見方が後退していることを映した。大企業では28業種のうち21業種が悪化を予想している。
企業収益の先行き不透明感も色濃い。10年度の経常利益計画は大企業製造業で前年度比57.8%増で、前回調査の54.3%増から上方修正となった。ただ下期に限ると前年同期比11.7%の減益見込み。前回調査は2.7%の増益予想で、一転して減益となった。
10年度の想定為替レートは1ドル=86円47銭で、円が高値圏で推移していることを受けて前回の89円66銭から円高方向に修正された。下期は前回の89円44銭から83円87銭と現状の円相場に近い水準へと引き上げられた。
10年度の設備投資計画は大企業製造業で前年度比2.9%増と3年ぶりの増加を見込むが、前回調査の4.0%増から下方修正となった。10年度の新卒採用計画は大企業で前年度比31.1%減で、1994年度(32.0%減)に次ぐ過去2番目の大幅な減少となった。11年度にもさらに0.8%の減少を見込んでいる。