沖縄知事に仲井真氏が再選 普天間移設先「沖縄にはない」
任期満了に伴う沖縄県知事選は28日投開票され、自民党県連の支援を受けた無所属現職の仲井真弘多氏(71)=公明、みんな推薦=が、無所属新人の前宜野湾市長、伊波洋一氏(58)=共産、社民、国民新、新党日本、沖縄社会大衆推薦=ら2氏を破り、再選を果たした。政府は米軍普天間基地移設問題を巡り対話継続を探るが、仲井真氏は県外移設要求に転じており、名護市辺野古への移設は困難な状況が続く。
投票率は60.88%で、前回を3.66ポイント下回った。
仲井真氏は28日夜、普天間基地の移設先について「沖縄に移設先はない。日本全国で解決を見いだしてほしい」と述べた。
同知事選は民主党政権を揺るがしてきた普天間移設問題に大きな影響を与えることから、政府、与野党の関心も高かった。民主党は日米合意の履行を重視する党本部と県外移設を主張する同県選出議員らの間で対応が定まらず、自主投票になった。
仲井真氏は自公政権時代、辺野古移設を条件付きで認めていたが、1月の名護市長選で反対派市長が誕生したことなどから、9月末に県外移設要求の姿勢に転じた。一貫して国外移設を主張してきた伊波氏は及ばなかった。
政府は対話を否定しない仲井真氏の再選で協議の継続に期待をかける。菅直人首相は沖縄訪問を検討しており、政府は基地負担の軽減などを示して地元の理解を得たい考えだ。
馬淵澄夫沖縄・北方担当相は「沖縄経済の真の自立と持続的な発展につながる施策を検討する」とのコメントを発表。福山哲郎官房副長官は記者団に「沖縄県民の民意の一つの表れだ。日米合意を踏まえ、沖縄の負担軽減に全力を尽くす」と述べた。
ただ、仲井真氏が首相が訪米を予定する来春までに、再び県内移設容認に転じる見込みは薄い。移設先とされた名護市の稲嶺進市長は「海にも陸にも基地は造らせない」と断固反対の立場で、前進が期待できる状況ではない。首相は13日のオバマ米大統領との首脳会談で、来年春にも米国を訪問して共同声明を出すことで合意したが、基地問題の調整の行方次第では訪米の足かせになりかねない。