原油に供給懸念強まる NY原油一時100ドル台
【ニューヨーク=川上穣】原油価格の騰勢が強まっている。23日のニューヨーク市場では原油先物価格(期近物)が一時1バレル100ドルの大台に乗せ、2008年10月2日以来約2年5カ月ぶりの高値を付けた。産油国のリビアを巡る情勢の悪化が同国での石油の一部生産停止にまで発展、原油の供給不安が高まっている。企業収益を圧迫するとの懸念から、ダウ工業株30種平均は大幅に続落した。
ニューヨーク原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近4月物は前日比2.68ドル(2.8%)高の1バレル98.10ドルで終えた。午後の取引で一時、100ドルちょうどをつけた。ロンドン市場では北海ブレント先物が2年半ぶりに1バレル110ドルを突破した。
同日の株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比107ドル01セント(0.9%)安の1万2105ドル78セントで取引を終えた。
リビアでは首都トリポリで抗議デモが拡大したと伝わった。情勢不安が一段と広がる中で、フランスのトタルなど欧州の石油大手がリビア国内での石油生産を相次いで停止。主な輸出先である欧州を中心に、原油の供給が滞りかねないとの見方が浮上した。
バークレイズ・キャピタルは23日、リビアの原油生産の6割強にあたる「日量約100万バレルの原油生産が停止した可能性が高い」との試算を発表した。政情不安がリビア以外の産油国に波及するとの懸念も根強い。
野村インターナショナルは同日、「リビアとアルジェリアの原油生産が同時に止まれば、原油相場は220ドルを超える可能性もある」とするリポートを発表。中東最大の産油国サウジアラビアなどは原油の供給不足が生じた場合は増産するとしているが、市場の不安心理は収まっていない。ヘッジファンドや機関投資家が原油買いを進めている。