キリン、中国大手との合弁発表 4割出資
清涼飲料、華潤創業と共同展開
キリンホールディングス(HD)は24日、中国食品大手の華潤創業と中国の清涼飲料事業で提携したと発表した。6月までに新設する合弁会社にキリンが4割を出資。華潤の販売網を活用し、キリンの紅茶飲料や共同開発する新商品を投入、2015年までに中国市場で売上高60億元(約760億円)を目指す。将来的にはビールの共同生産・販売などへの提携拡大も検討する。
キリンの三宅占二社長と、華潤創業傘下で清涼飲料事業を担う華潤怡宝食品飲料の劉洪基・董事総経理が都内で記者会見し「現地に販路を持つ企業と組むことで中国事業の新たな発展が見込める」(三宅社長)、「キリンとの提携で相乗効果が発揮できる」(劉董事総経理)などと語った。
合弁会社の資本金など詳細は今後詰める。複合企業である華潤集団の中核会社で、清涼飲料のほか、食品、ビール事業を手掛ける華潤創業が6割を出資、キリンの総投資額は約4億ドル(約330億円)に達する予定。キリンと華潤の中国での清涼飲料の売上高は現在、計200億円強とみられ、5年で3倍以上に増やす。
キリンは子会社であるキリンビバレッジの上海市の3工場のほか、北京市の販売会社を合弁会社に集約。中国の清涼飲料市場は年率2割のペースで拡大しており、キリンは有力企業と組んで現地市場で一気に攻勢をかける。
キリン、華潤は今回の提携で中国内の販売網などを相互に活用。華潤が運営する約3000店のスーパーで、紅茶飲料「午後の紅茶」や缶コーヒー「ファイア」などキリンブランドの商品を販売する。日本で人気の低アルコール飲料「氷結」なども投入していく。華潤も上海市などでキリンの販売ルートを利用する。
両社は「中国の消費動向に精通した(華潤の)マーケット調査力」(三宅社長)と、キリンの技術力を組み合わせ、新ブランドの商品開発にも着手する。また甘味料や果汁など清涼飲料の原料や、ペットボトルなど資材の共同調達にも乗り出す。
キリンは1990年代から中国で自社ブランドによる清涼飲料の生産・販売を手掛けてきた。ただ、自前事業にこだわり、ペプシコとの提携で中国全土で事業を展開するサントリーホールディングスなどに後れを取った面がある。この間、消費者の所得水準の向上などに伴って現地の清涼飲料マーケットが拡大。成長市場を取り込むためには有力な現地企業との連携が課題となっていた。
キリンの三宅社長は今回の提携について「現時点では清涼飲料事業に限定したもの」と説明。ただ、苦戦が続くビール事業の提携は「選択肢のひとつになる」(幹部)といい、今後、提携拡大も検討する。
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