初の計画停電、鉄道が大混乱 15日は早朝から実施も
東京電力は14日、東日本巨大地震に伴い、順番に電力供給を止める計画停電(輪番停電)を同日午後5時ごろから1時間半程度、茨城、千葉、山梨、静岡各県の一部地域で実施した。14日早朝から予定していた一部地域の停電は見送ったものの、首都圏の鉄道は大きく混乱した。15日については「早朝から実施に踏み切る可能性が高い」としており、午前5時から5時半の間に判断する。
計画停電の実施は1951年の同社設立以来初めて。静岡県富士市内では多くの場所で信号が消え、警察官87人が手信号で交通整理をするなどして対応した。
15日以降については、東電は14日、停電を行う対象地域の5つのグループ分けを再び変更した。今後も、変更される可能性がある。午前6時20分から順次3~6時間ずつの停電を予定。15日の供給力は3300万キロワットで、ピーク時(午後6時~同7時)の需要量を3700万キロワットと想定している。
藤本孝副社長は14日夜の記者会見で「鉄道含め電力需要の増加が見込まれ、15日は早朝から計画停電に踏み切る可能性が高い」と述べた。JRや私鉄各社、地下鉄は15日も運行本数を大幅に減らす。東京メトロが通常の5割。西武鉄道が、さらに運行区間を縮小する。
東電によると、14日は、停止した福島第1、第2原子力発電所が稼働しなくなった影響で、電力供給能力が減少。夜間点灯が始まる午後6時から同7時のピーク時に供給力を100万キロワット程度上回る電力需要を見込んだため、差を埋めるため4県の約11万3千世帯を対象に計画停電を実施した。
この日早朝から順次予定していた第1~第4グループ地域の計画停電は電力需要が想定を下回ったとして見送られた。
一方、計画停電の詳細の公表が13日夜にずれ込んだため、14日は首都圏の鉄道が大きく混乱。JR東日本は上越、長野両新幹線で一部運休、在来線の運行も山手線や中央線快速などの一部にとどまり、通勤、通学客であふれかえった。
私鉄や地下鉄は同社の電力に頼らざるを得ないため計画停電の時間帯や区間を運休とするなど、大きな影響が出た。東電は停電によって鉄道運行に影響が出ないよう鉄道会社側と協議する方針。
東電は計画停電を4月末まで実施する予定で、東京湾周辺の火力発電所を復旧させるなどして、4月中に1000万キロワット分の供給力を回復させるという。都内の千代田区、港区、中央区の都心部は計画停電の対象地域から外している。
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