2号機、建屋外にも汚染水 燃料棒に深刻な損傷の恐れ
福島原発事故
東京電力福島第1原子力発電所2号機で、原子炉内の燃料棒に深刻な損傷が起きている可能性が強まった。2号機のタービン建屋地下にたまった高濃度の放射性物質を含む水は、溶け出した燃料棒の一部とみられる。汚染水はタービン建屋の外にある坑道(トレンチ)内でも見つかり、毎時1000ミリシーベルト以上を計測した。被曝(ひばく)の危険があるため冷却装置の復旧作業が一層難しくなるほか、周辺環境への影響にも懸念が出ている。
東電は28日午後の記者会見で、1~3号機のタービン建屋の外のトレンチに水がたまっていたと発表。2号機のトレンチでは27日午後3時半に1000ミリシーベルトの測定限界を超える高い放射線量を検出していたことを明らかにした。1号機のトレンチも汚染されていた。
「染み出して海に漏れ出ている可能性もないとはいえない」(東電)という。1号機では外に水が出るのを防ぐため、土のうやコンクリートパネルを設置した。2、3号機では実施していない。
1~3号機では原子炉圧力容器内の水が減って燃料棒の一部が露出した状態が長期間、続いているとみられる。このためジルコニウム合金製の被覆管が過熱して壊れ、内部のウラン燃料を固めた「ペレット」と呼ばれる塊も溶け出した可能性がある。
溶けた燃料は圧力容器の底にたまり、一部が水に溶けて損傷が疑われている格納容器下部の圧力抑制室などから漏れ出たと考えられる。圧力抑制室の損傷について東電福島事務所は28日の会見で「可能性は否定できない」との見解を示した。
福島第1原発の作業員に対する放射線量の許容限度は通常の100ミリシーベルトから、250ミリシーベルトに引き上げられている。それでもタービン建屋地下やトレンチで計測された毎時1000ミリシーベルトだと、15分ほどでこの水準に達してしまう。冷却装置などの復旧作業の妨げになる。
1号機ではタービン建屋地下の水をくみ出し、原子炉から出る蒸気を水に戻す「復水器」に入れる作業を続けている。順調に進めばトレンチの水も一緒に排出できるとみている。ただ2、3号機では復水器が満杯で作業が遅れている。
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