ライチョウ保護へ亜種繁殖に挑戦 「つがいで子育て」目指す
国の特別天然記念物ライチョウの保護につなげようと、富山市の動物園「富山市ファミリーパーク」が生態の似た近縁亜種の自然繁殖に挑戦、全国初の取り組みに担当者の試行錯誤が続いている。
日本原産の「ニホンライチョウ」は南北アルプスなど高山に生息しているが、環境変化や外敵増加で減少。現在の個体数は約1700羽とされ、環境省が絶滅危惧種に指定している。
繁殖技術を蓄積するため、ファミリーパークは昨春、東京・上野動物園などと共同で、種類の近いノルウェーの「スバールバルライチョウ」の飼育研究を始めた。2月、産卵から子育てまで全てを親鳥に任せる自然繁殖をスタートさせた。
交尾にも工夫が必要だ。繁殖期を迎える春先は、故郷の北極圏では白夜の季節。日本の冬をノルウェーの春と"勘違い"させるため、日没後も室内に照明をつける。
純白の羽が褐色に生え替わると同時に繁殖時期を迎えるが、巣作りの方法もよく分かっていない。巣箱のほか、石を敷き詰めた場所などを用意し、親鳥が好む所で卵を温められるよう気を配る。
何より大事なのは相性。飼育する雌1羽を、雄2羽のどちらかとつがいにさせる計画だが、「こればかりは人間にはどうにもならない」と飼育担当の岸原剛さん(40)。
無事カップルが誕生し、交尾や産卵がうまくいけば、3月中にもひなが生まれる見通しという。〔共同〕