福島産品、買って応援 にぎわう都内アンテナ店
震災以降、福島県の名産品を扱う東京都内のアンテナショップで買い物をする人が増えている。原発事故に絡む風評被害などに苦しむ同県を応援しようとする人が訪れ、震災前の3倍以上となる日もある。
JR東京駅八重洲口にあり同県産の漬物、菓子などが置いてある「福島県八重洲観光交流館」。3日は開館の午前10時から多くの人が訪れ、入場制限をせざるを得なくなり、館外には約10メートルの列ができた。
同館によると、震災前の来客数は1日約500人だったが、最近は約1200~1800人。お菓子の「ゆべし」や、喜多方ラーメンなどの売れ行きがいいという。富田潤也館長(53)は「戸惑っているが、応援の声が首都圏でも大きいことがうれしい」と話す。
この日漬物、温泉卵など約7000円分を買った川崎市の会社員、小笠原麗さん(38)は「パソコンでここを知り初めて来た。知人が福島出身で、ひとごとと思えない」と話す。「募金もいいが、名産品を買えば地元産業の自立を支えられる」と購入理由を話した。
実家が福島県内で農業を営む稲城市の公務員、鈴木美穂さん(34)は「実家では、風評被害でコメが出荷できなくなるのを恐れている。できることで応援したい」と力をこめる。
東京都江戸川区のスーパー内のアンテナショップ「ふくしま市場」でも普段の約3倍の1日約1800人が訪れる。震災で品ぞろえは約3割少ないが、以前は来なかったような若い夫婦が「頑張ってください」と言って野菜や納豆を買っていくという。
千葉県浦安市の会社員、楢崎忠範さん(40)はこの日家族で来店し、トマトなど約1300円分を購入。「私の自宅周辺も液状化現象が起き、不便な思いをしている。福島の人はもっと大変だろうが頑張って」とエールを送った。