がん患者を探知犬が判別、呼気かぎ分け 九州大が実験
犬の嗅覚を利用して、がん患者の呼気などをかぎ分ける「がん探知犬」を使った九州大の研究者らの実験で、9割以上の精度で判別に成功したことが、29日までに分かった。近く英国の医学誌「GUT」で発表される。
実験は、セントシュガーがん探知犬育成センター(千葉県南房総市)と、九州大大学院消化器総合外科(福岡市)の園田英人助教らが約300人分の検体を集めて実施。2008年11月から09年6月にかけ、ラブラドルレトリバーのマリーン(9歳、雌)にかぎ分けさせた。
5つの容器のうち1つだけに大腸がん患者の呼気を詰めて並べ、マリーンがどれを選ぶかを試したところ、計36回のうち33回は正解を選んだ。
呼気の代わりに便から採取した液状の検体を使った実験では、38回中37回正解した。
同センターの佐藤悠二所長によると、マリーンは嗅覚が特に優れていたため「体内の臭いで、病気をかぎ分けられるのではないか」と考え、呼気で食べた物を当てるなどの訓練を積んだという。
乳がんや胃がん、前立腺がんで数例試した場合も、かぎ分けに成功したといい、園田助教は「がん特有の臭いに反応したと推測できる。臭いの原因物質を特定できれば、がんの早期発見にもつながる」と話している。〔共同〕