イエメン南部で弾薬工場が爆発、110人死亡
【カイロ=加賀谷和樹】イエメン南部アビヤン州の弾薬工場で28日、大きな爆発があり、中東の衛星テレビ局アルアラビーヤによると少なくとも110人が死亡した。同州は国際テロ組織アルカイダが拠点を築き、活発に活動する地域。爆発の原因は明らかでないが、アルカイダの脅威が改めて注目され、サレハ大統領の退陣時期を巡る協議に影響する可能性がある。
この工場は27日にアルカイダ系とみられる約30人の武装勢力の攻撃を受け、多数の弾薬が持ち去られた。28日は住民が工場に入り込み、残った弾薬を物色している最中に起きた。火元は住民のたばこという見方もある。
この事件は、サレハ大統領の退陣時期などを巡る大統領側と反体制側との協議に影響しうる要因。協議は中断しているが、関係者はロイター通信に対し、合意間近である状態は変わらないと指摘。協議は、大統領退陣後の憲法修正など具体的な新政権づくりの手続きを巡るせめぎ合いに入ったとの情報もある。
大統領は即時退陣を拒む理由の一つとして、国内のアルカイダの脅威をあげる。イエメンのアルカイダ掃討を援助する米国のゲーツ国防長官も「仮にサレハ大統領の代わりに、もっと弱い政権ができれば、(アルカイダの活発化は)現実の問題になる」と懸念する。