前原外相が辞任の意向、外国人献金で 首相は慰留
前原誠司外相は6日、政治資金規正法が禁止している外国人からの政治献金を受けとっていた問題で責任を取って辞任する意向を固めた。前原氏は同日夜、首相公邸に首相を訪ね、1時間45分会談した。前原氏は辞意を伝えたとみられるが、首相は慰留したとみられる。前原氏は首相との会談後、記者団からの問いかけには応じず無言で公邸を後にした。
前原氏が辞任を決断したのは献金問題が長引けば、2011年度予算案と関連法案の国会審議に悪影響を与えるとの判断だ。後任の外相には松本剛明外務副大臣の名前が取り沙汰されている。
前原氏は「ポスト菅」の有力候補とも目されていただけに、民主党の衆院解散・総選挙のシナリオにも波及するのは間違いない。野党は専業主婦らの年金救済措置問題で細川律夫厚生労働相らの問責決議案を検討中。前原氏の辞任が野党の攻勢を招く恐れがある。
外国人献金問題を巡っては前原氏が4日の参院予算委員会で自民党の西田昌司参院議員から「在日外国人から過去4年間で5万円ずつ計20万円の寄付を受けている」とただされた。前原氏は5万円分の受領を認めた。前原氏は過去の献金額などをさかのぼって調査し、最終的に進退を判断する考えを示していた。
首相は6日、前原氏との会談に先立ち都内で記者団に「本人が調べて、ちゃんと説明する。それによって(与野党の)納得が得られることを私としては期待している」と述べていた。枝野幸男官房長官は記者団に「外国人から献金を受けていたことを本人が知らない可能性はどこにでもありうる。すべて調べることが可能かといえば、現実的には難しい」と全容解明は難しいと指摘した。
来年度予算案は参院で審議入りしたものの関連法案の衆院通過のメドは立っていない。民主党の輿石東参院議員会長は6日のNHK番組で「国会の重大な時期だ。1日も早くけじめをつける必要がある」と語った。
前原氏は政権交代後の2009年9月、鳩山由紀夫内閣で国土交通相に就任し、10年6月に発足した菅内閣でも続投。同年9月の内閣改造で外相に横滑りした。就任から半年足らずの外相辞任は日本外交にも悪影響を与える。