ベトナム、電力料金30%値上げ検討
ベトナム政府は2011年に一般家庭や事業所などの電力料金を引き上げる方向で検討に入った。値上げ幅は明らかになっていないが、現在より30%程度高くなる案が有力。電力の卸売価格の引き上げを可能にすることで発電所建設プロジェクトへの外資参入を促し、深刻な電力不足を早期に解消する狙いがある。
タンニエン紙(電子版)によるとニン財務相は「政府は値上げの時期と幅を決める」と述べ、料金改定に向けた調整を開始する意向を示した。日常生活への影響が大きい低所得者に対しては救済策を設ける方針という。
一方、大口の電力利用者である産業界は値上げに警戒感を強めており、料金改定が政府の思惑通りに進むかは予断を許さない。セメント業界などからは「(経営が)大きな打撃を受ける」といった声も上がっている。
ベトナムの現在の発電能力は1万9000メガワット。経済成長が加速しつつあるため電力の供給が需要を下回っている。このため政府は発電所の建設を急いでおり、15年には発電能力を5万メガワットに増やす計画だ。ただ電力料金が低く設定されていることなどが障害となり、外資誘致は計画通りに進んでいない。各種プロジェクトは大幅に遅れており、各地で停電が頻発する状況が続いている。(ハノイ=岩本陽一)