エジプト、各地で大規模デモ 大統領に即時辞任迫る
【カイロ=花房良祐】29年間にわたり長期政権を率いるムバラク大統領への抗議デモが続くエジプトで4日、退陣に向けた「最後通告」ともいえる大規模なデモが始まった。カイロ中心部のタハリール広場に同日昼過ぎ、数万人が集合した。反体制派はこの日を「退陣の金曜日」と名付け、100万人規模のデモを呼びかけている。
一部は厳戒態勢が敷かれる大統領府に行進する構えを見せているが、同日昼過ぎ時点でまだ行進は確認されていない。
反体制派は「今日がムバラク大統領の最後の日だ」と気勢を上げた。北部アレクサンドリアや東部スエズなどでも数千人が集まった。
これに対して大統領の支持者もカイロで数千人規模の集会を開いたが、これまでのところ反体制派との大きな衝突は起きていない。反体制派は広場の周辺で身分証明書の提示を求めるなど、大統領の支持派が紛れ込むのを警戒している。
政権側と反体制派の溝は深いままだ。ムバラク大統領は3日、即時の辞任は混乱を招くとして任期満了まで職にとどまることに理解を求めた。一方、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」幹部は4日、中東衛星テレビに大統領の即時辞任が政権との対話条件と改めて主張。大統領が辞任しない限りデモが続く可能性もある。
一部の市民や観光関係者は都市機能のマヒを招くデモにいら立ちを強める。大統領側も「混乱より安定が重要」と強調し、沈静化を図っている。