IAEA、福島原発事故で対策協議 6月に閣僚級会合
【ウィーン=藤田剛】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は28日の会見で、原子力発電所の安全対策などを協議する閣僚級会合を6月下旬にウィーンで開催すると発表した。福島第1原発の事故原因の究明のほか、原発事故に対する国際的な協調体制の構築も主要議題となる。事故を起こした日本は会合で説明責任を問われそうだ。
天野事務局長は会見で「非常に重要な問題であり、専門家や技術者だけでなく政治家の関与が必要」と指摘。IAEAは28日、加盟各国に閣僚級会合の開催を打診し、米国や欧州勢など各国の賛同を得た。日本政府も「透明性を確保し、説明責任を果たしたい」として開催を受け入れた。
会合には全151の加盟国からエネルギー担当相らが出席する。IAEAは福島第1原発の事故原因を分析した報告書を6月下旬の閣僚級会合までにまとめる見通し。報告書は地震発生後の原発の緊急停止措置、放射性物質の封じ込め、原子炉の冷却の3点について、重点的に分析する可能性が高い。
天野事務局長は28日の会見で福島第1原発の現状について「依然として非常に深刻で、安定するまでまだしばらくの時間がかかる」との見方を示した。