EPA推進へ「平成の尊農開国」 首相、初の外交演説
菅直人首相は20日、都内ホテルで菅内閣として初の外交政策に関する演説をした。経済連携協定(EPA)の推進では「農を尊び国を開く『平成の尊農開国』を推進したい」と述べ、農業の再生と併せて進める考えを強調。日米同盟では「今年前半に予定する訪米の際に21世紀の日米同盟のさらなる進化を遂げたビジョンを示したい」とし、新たな共通戦略目標の策定を目指す考えを示した。
「歴史の分水嶺(ぶんすいれい)に立つ日本外交」と題した演説で、首相は外交・安全保障政策の柱として(1)日米基軸(2)アジア外交の新展開(3)経済外交の推進(4)地球規模の課題への取り組み(5)安全保障環境への日本自身の的確な対応――の5項目を挙げた。
日米同盟については「政権交代にかかわらず、維持・強化されるべき関係だ」と指摘。沖縄の米軍普天間基地移設問題では「沖縄県民に混乱をもたらし、その気持ちを深く傷つけたことに改めておわびする」とした一方で「日本の安全保障のためには米軍基地が日本国内に存在することは必要だ」とも強調した。
中国については「2000年以上の一衣帯水の隣国」とし「大局的観点から戦略的互恵関係の内容を深める努力が重要だ」と語った。
北朝鮮問題では、北朝鮮がすべての核兵器と核計画を放棄するとした6カ国協議の共同声明を履行するよう求めた。日本人拉致問題については「日本国の主権にかかわる問題だ。一刻も早く被害者を帰国させるよう全力を尽くす」とした。
首相は、各国の駐日大使らを会員とする民間外交推進協会が開いた会合に出席して演説した。今後は毎年年頭に同様の演説を実施する意向だ。