3号機付近から白煙、水蒸気か 福島第1で保安院
東日本巨大地震で被害を受けた東京電力福島第1原子力発電所4号機で、16日早朝、一時的だが2回目の火災があった。15日夜には海江田万里経済産業相が原子炉等規制法に基づき東電に4号機に速やかに注水するよう命じた。4号機は放射線量が高く、現場に作業員が近づけない状態。東電は空中から水や冷却材を散布する検討に入った。16日午前10時半ごろには3号機付近から白煙があがっていることを経済産業省原子力安全・保安院が確認した。白煙は水蒸気とみられる。福島第1原発では緊迫した状態が続いている。
2回目の火災は4号機の中央制御室にバッテリーを運んでいた東電社員が16日午前5時45分、建屋の北西部付近から炎が上がっていることを見つけた。30分後には炎が見えなくなっていることを確認した。
4号機は15日午前にあった水素爆発によって建屋が損傷した。4、5階の北西側面から屋根にかけて、8メートル四方の大きな穴が2つあいた。建屋周辺の放射線レベルが高く、作業員が近づけない状態が続いている。
東電は、ヘリコプターを使って上空からホウ酸を散布することを検討していることを明らかにした。ホウ酸には核分裂反応が連鎖して起こる再臨界を防ぐ効果が期待できる。1999年に起きた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所(茨城県東海村)で起きた臨界事故でも使用された。
原子力安全・保安院によると、4号機の水温はセ氏84度と沸点近くまで急上昇した後、変わっていないもようだ。沸点近くの状態になると水が蒸発するため、プールの水位も下がって燃料棒が露出してしまう可能性もある。
燃料棒が露出した状態では放射線が大気中に放出される状態となっている。火災によって燃料棒が破損される事態となれば、燃料棒から放出される核反応生成物などによってさらに反応が進み、より大量の放射線が出ることも考えられる。
水素爆発などによって建屋や格納容器の一部である圧力抑制室が破損した1、2、3号機については注水作業が続いている。ただ、圧力容器内の水位がどの程度回復しているかは確認できておらず、予断を許さない状況が続いている。