ロシア、穀物の本格輸入検討 300万トン、ウクライナなどから
【モスクワ=金子夏樹】ロシアのプーチン首相は今穀物年度(2010年7月~11年6月)での本格的な穀物輸入を検討する方針を示した。干ばつによる穀物収穫高の減少に対応するためで、輸入総量は約300万トンとなる見通し。ウクライナやカザフスタンなどと協議を進めている。ロシアの穀物輸入が大幅に増えれば、世界の穀物需給に影響を与える可能性もある。
プーチン首相は「干ばつの影響が小さい穀物生産国と、ロシア向けの輸出について合意した」と述べた。ロシア農業省によると、ウクライナから約200万トン、カザフと欧州連合(EU)からそれぞれ50万トンの穀物輸入を検討している。
ロシアは世界有数の穀物輸出国で、これまで輸入は少量にとどまっていた。だが、今夏の記録的な猛暑による干ばつの影響で、穀物収穫高は前年度より3割超少ない約6000万トンに減少。国内需要を優先するため、今年8月から来年7月1日まで小麦や大麦など主要穀物の輸出禁止措置を導入している。
政府内には禁輸措置で国内需要分を確保できるとの見方もあったが、干ばつの影響拡大で輸入を迫られた格好だ。政府は輸入と穀物在庫の放出拡大により、食品価格の上昇を抑える方針だ。