米IT大手5社が最高益 10~12月期、クラウドで稼ぐ
【シリコンバレー=岡田信行】マイクロソフト(MS)やアップルなど米IT(情報技術)大手8社の2010年10~12月期決算が出そろった。高機能携帯電話や多機能携帯端末、インターネットを介して機能を利用するクラウドコンピューティングが普及。8社のうち、IBMなど6社で売上高が過去最高となり、5社で最高益を更新した。一方、2番手や改革途上の大手は苦戦。「パソコン一本足」からの脱却度合いによる二極化が加速している。
環境変化を象徴したのはMSだ。主力の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」以外にも、業務用ソフト「オフィス」やゲーム機「Xbox360」、クラウド分野の事業などを拡充。売上高は前年同期比5%増となって、過去最高を更新した。
一方で純利益は微減益だった。減益は5四半期ぶり。米調査会社IDCによると、昨年のパソコン世界出荷台数は前半こそ前年同期比20%増の勢いだったが、後半に失速。10~12月は2.7%増にとどまった。MSの稼ぎ頭「ウィンドウズ」部門は大幅な減収減益に陥り、全社の純利益が0.4%減った。依然としてウィンドウズ頼みの収益構造を露呈した。
昨年4月に発売した多機能携帯端末「iPad」を、全社の売上高71%増、純利益78%増につなげたのはアップルだ。「タブレット」と呼ばれる携帯端末市場を確立し、米調査会社IDCによると、昨年7~9月のタブレット市場でのアップルのシェアは87%に上る。
半導体大手インテルはネット対応と規模の大きさで快走する。ネット対応端末の増加やクラウドの普及で、データを処理するサーバーの需要が拡大。超小型演算処理装置(MPU)の販売が伸びた。
携帯電話向け半導体ではクアルコムが好調。売上高は25%増、純利益は39%増でいずれも過去最高だった。四半期ベースで売上高が過去最高になったのは、IBM、グーグルなどを加えて6社。純利益は5社が最高益を更新した。
一方で半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や、ネット検索の米ヤフーなど、競合相手に規模で劣る大手企業は苦戦を強いられ、二極化が一段と加速している。