エジプト北部でパイプライン爆発
【カイロ=松尾博文】ムバラク大統領の退陣を求める抗議デモが続くエジプトで5日朝(日本時間同日午後)、ヨルダン向けの天然ガスパイプラインが爆破された。混乱に乗じたイスラム系過激派組織による犯行の可能性がある。反体制派は5日もカイロ中心部のタハリール広場で抗議行動を続けたが、大統領支持派などとの衝突は起きていない。
エジプト国営テレビによると、爆破地点は北東部のアリーシュ近郊。複数の場所で火災が起きた。当局はヨルダン向けに加え、イスラエル向けのガス供給も停止した。イスラエルはエジプトにガス消費量の4割を依存する。供給停止が長期化すれば周辺国に影響が及ぶ。
一方、ムバラク大統領はシャフィク首相や財務相、中央銀行総裁らを集めた会議を開催。通常通り職務を遂行している姿をアピールした。政府はデモを受けて休業している銀行を6日から再開させる予定だ。
スレイマン副大統領は5日、事態打開に向け一部野党や有識者のグループと会談する。有識者らは大統領が職にとどまりながら副大統領に実権を移す構想を提案するとみられる。4日にはムバラク大統領の辞任を求める「退陣の日」と名付けられたデモが発生。ただ大統領は9月の任期満了まで続投する構えを崩しておらず、抗議活動は事実上不発に終わっている。