首相、避難住民の帰宅「6~9カ月後目指す」 原発事故
菅直人首相は18日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難した住民への対応について、原子炉が安定した段階で帰宅できるよう政府として取り組む考えを示した。「(東電が工程表で第2段階とした)6~9カ月たった時点で、できる限り多くの方が戻れるように努力するのが政府の役割だ」と述べた。
首相は、今後の原子力政策に関し「(事故の)検証を経て安全性を確認することを抜きに、これまでの計画をそのまま進めていくことにはならない」と表明。2030年までに原発を14基以上増設する従来目標を見直す考えを示唆した。既存の原発については「これまでの安全基準でいいのか再チェックする必要がある」と指摘した。
同委には東京電力の清水正孝社長も出席し、原発事故について「14、15メートルの津波が来ることは想定できなかった。甘かったと言わざるをえない」と陳謝した。首相も東電の想定が甘かったことに関し「政府としても事前にチェックできなかったことをおわびする」と述べた。
清水社長は、福島第1原発で最初に原子炉内の圧力が異常に上昇した時に格納容器の圧力を下げる作業(ベント)が遅れた理由について「電源が喪失され、厳しい作業が続いた。現場の放射線量の確認や(周辺住民の)避難指示を徹底することが必要だった」と釈明した。3月12日朝の首相の視察は「ベント作業に向けた視察で影響はない」と述べ、遅れとは無関係であるとの認識を示した。
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